2025年3月25日、COMMIT研究会では「製造業の新規事業はシーズ起点で生み出すのか、ニーズ起点が重要なのか」をテーマに研究会を開催しました。COMMITリーダーである山下氏(元 旭化成(株) グループフェロー、現 e-Compass LLC 代表)、藤井氏(ハウス食品㈱)、藤村氏(元ライオン㈱、現㈱fucan代表)を迎え、新規事業創出の本質について活発な議論が交わされました。

注目される起点論の先にあるもの

製造業における新規事業創出で近年特に議論となる「シーズ起点かニーズ起点か」というテーマ。今回の研究会では、この二項対立を超えた視点の重要性が浮き彫りになりました。

最初に山下氏は日本の経済成長率の変遷に触れながら、高度成長期、低成長期、そして現在の「失われた30年」における事業創出アプローチの変化を解説。時代によって有効なアプローチが異なる点を指摘しています。

実例から学ぶ成功の本質

続いて山下氏からは自身が関わった電子コンパス事業の事例を共有。単なる「シーズとニーズのマッチング」に競争力を求めようとした企業は、それが「シーズ起点かニーズ起点かに関わらず」、結果的には同じようなコンセプトの製品になってしまい、どちらも大きな成功を得られなかったという実例を紹介。  これに対して旭化成は、自分達の製品が使われる客先の磁気環境やエンドユーザーの操作性で起こる「問題」に着目して、それを解決するソリューション開発に注力したことが、持続的な競争優位をもたらしたという、新規事業の開発プロセスに関する話題を中心に披露されました。

業界を超えた共通の知見

さらに食品業界からは藤井氏がハウス食品の事例を、日用品業界からは藤村氏がライオンの変遷を紹介。製造業としての強みを再定義しながら、技術開発と市場ニーズのバランスを模索する両社の取り組みについて議論が展開されました。

藤村氏からも「会社に足りないものは何か」という視点で新規事業を考えることの重要性も強調され、参加者との間で議論がさらに深まる場面も見られました。

企業の成長につながる新規事業創出のポイント

そのほか研究会では、製造業の新規事業創出において「起点」の選択よりも、問題解決の視点や顧客の先にある価値の創造、企業としての自己定義の見直しなど、より本質的な要素が重要であるという見解が共有されました。

山下氏は「起点の議論はビジコン通過が目的化している」と指摘。事業として成長するためには定型的な順番に拘らない柔軟な開発プロセスと問題解決の視点が重要だと強調しています。

参加者の満足度と声 - 平均評価9.3点

研究会の満足度は平均9.3点と非常に高く、参加者からは多くの好評の声が寄せられています。

「山下様の実例を交えた説明がとても分かりやすく、勉強になりました。ニーズ起点、シーズ起点のどちらでもなく、顧客や社会の問題認識と解決策の組み合わせが大切だという点が印象に残りました」

「3者それぞれ異なる背景・アプローチから、多様な側面からの考え方・アドバイスをいただき、絶賛振り返り中です。クローズドな雰囲気で、良い意味でここだけのお話が聞けて大変ありがたかったです」

「藤村様から”歴史に裏付けされた技術を活用したいという思い(執着)がある。それを前提にどう動くか”という自分でも漠然と感じていたことを明確化いただけたことが非常に印象的でした」

「既存事業が大きな業績を上げてきた製造業の中で、実際に新規事業の立上げを牽引されてきた方々の生の声による実体験に基づいたご意見が聞け、自分自身の考え方や社内環境の違いを知ることができました」

また、「上の方に納得していただくためのテクニック」についての議論や、製造業ならではの組織構造の利点を活かした事業創出についても関心が見られました。

COMMITについて

COMMITは、新規事業を通じて会社を変えていきたいという課題認識を持つ大企業・伝統企業の新規事業部門責任者に対して、実務経験豊富な経験者の暗黙知を提供し共に学び合うコミュニティです。詳細はプレスリリースをご参照ください。

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