2025年7月15日、大企業の新規事業担当者約15名が参加するCOMMIT研究会「新規事業の”経験価値”とは何か?事業を創る人の学びとキャリア論」が開催されました。メインスピーカーは立教大学の田中聡准教授です。10年以上にわたる経営人材育成の研究成果を披露し、オンライン会場は熱気に包まれました。
経営陣と現場の「認識ギャップ」を検証
研究会の冒頭で紹介されたのは、野村総研との共同調査結果でした。新規事業で求められる資質について、経営陣と実際の担当者に同じ質問をしたところ、驚くほど異なる回答が得られました。田中准教授は歴史上の人物に例えて、この違いを巧妙に表現されました。参加者からは「まさにその通り!」との声が上がりました。
さらに興味深かったのは、担当者が最も困難だと感じている対象についての調査結果。多くの人が想像する「市場開拓」や「競合対策」ではない、意外な答えが明かされます。会場がざわめく瞬間でした。
「やる気」は成果に関係ない?驚きの研究結果
田中准教授の研究で最も参加者を驚かせたのは、新規事業への「意欲」や「やる気」と成果の関係についての発見でした。一般的な常識とは正反対の統計結果が示されました。代わりに重要だとされる要素について、詳細な説明が続きます。
なお、この要素につちて田中准教授は大きく2つのタイプに分類されといいます。研究会では、それぞれの特徴や新規事業での振る舞いの違いについて、具体例を交えて解説されました。参加者の多くが「自分はどちらのタイプだろう」と考え込む様子。まさに自分ごととして捉えた瞬間でした。
新規事業人材が辿る「成長の法則」とは
研究会のハイライトは、10年の研究で発見した「新規事業担当者が必ず辿る成長パターン」の発表。期間や特徴が異なる3つのステージに分かれており、特に最初のステージについては衝撃的な内容が明かされました。「どんなエース人材でも必ず経験する」とのこと。
各ステージでの心理的変化、次のステージへの転機となる出来事についても詳しく説明。多くの参加者が自分の経験と照らし合わせながら聞き入っていました。過去の自分を思い出す人、現在の状況に重ね合わせる人。それぞれの表情に納得の色が浮かびます。

実践者による具体的マネジメント手法
研究会では、元旭化成の山下氏と元ライオンの藤村氏が実践者として登壇。山下氏は新卒時から新規事業を希望した経歴で、一般的なパターンとは異なる体験談を披露しました。
藤村氏からは独自開発の「チーム運営手法」について説明がありました。5つの具体的なアプローチが紹介され、特に「転職サイトの活用法」については参加者から質問が殺到しました。また、「意思」という概念について従来とは全く異なる定義を提示。これまでの常識を覆す内容に、会場は再びざわめきます。
日本企業の「構造的課題」を議論
研究会では新規事業の課題だけでなく、日本企業全体が抱える問題についても活発な議論が展開されました。既存事業の環境が抱える「見えない問題」、バブル崩壊後の企業文化の変化が新規事業に与える影響などが話し合われました。
参加者からは「既存事業でも同じ課題を感じていた」「なぜDXが進まないのかが分かった気がする」といった感想。現場の実感と研究結果が重なった瞬間です。理論と実践の橋渡しが、ここで実現されました。
質疑応答で見えた現場の悩み
質疑応答では実務に直結する質問が次々と。アサインメントの問題、能力開発の優先順位、越境学習プログラムの効果など、どれも切実な内容でした。特に印象的だったのは「本人の意思と関係なくアサインされるケースが多い現状をどう考えるか」という質問。田中准教授の回答は、多くの参加者にとって意外なものでした。
人材育成の新しい視点
研究会を通じて最も印象的だったのは、新規事業経験がもたらす「変容」についての議論。田中准教授はこの変容を特別な言葉で表現し、既存事業での学習とは次元の異なる価値があることを強調されました。
参加者からは「新規事業を『罰ゲーム』と見る風潮を変えたい」「組織全体での理解促進が必要」といった意見。評価制度やキャリアパスの見直しについても議論が白熱しました。変革への強い意志が感じられる瞬間でした。
まとめ
2時間にわたる研究会では、新規事業人材育成に関する従来の常識を覆す知見が数多く共有されました。参加者の多くが「自分の経験を客観視できた」「組織に持ち帰って共有したい内容」と感想を述べており、新規事業に対する見方が大きく変わる機会となったようです。
田中准教授は最後に、新規事業経験の真の価値と、それを最大化するために必要な組織的取り組みについて熱く語られました。研究会は盛況のうちに終了。参加者の表情には充実感が溢れていました。
参加者の声
研究会終了後のアンケートでは、多くの参加者から高い評価を得ました。「非常に密度の高い議論を聞くことができました。新規事業のキャリアを学術的に読み込むことはあまりなかったので、網羅的にお聞きできました」「議題が絞られているため、興味がある方には参考になります。自分の中でも思考を整理する良い時間になりました」といった声が寄せられました。
一方で「問題設定に思ったより偏りがあった印象です。新規事業の成否は他にも要素があるのでは」という学術的な観点からの指摘、「初参加者への配慮がもう少しあると良い」といった運営面での改善提案もありました。
また、「田中先生の話が分かりやすく納得性が高かった」と講演内容への評価は高い一方、「もう少しキャリアにフォーカスした話が聞けるとよかった」「議論が白熱したので、次回は他の参加者の質問にも答えられる時間があると良い」といった今後への期待も多数あがっています。
COMMITについて
COMMITは、新規事業を通じて会社を変えていきたいという課題認識を持つ大企業・伝統企業の新規事業部門責任者に対して、実務経験豊富な経験者の暗黙知を提供し共に学び合うコミュニティです。詳細はプレスリリースをご参照ください。
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