イノベーティブ人材育成プラットフォームの全容を語る

2025年4月22日、トヨタ紡織の西尾氏を招いた「新規事業創出人材育成で社内風土を変えるには」に関する研究会が開催されました。

研究者として大学院へ派遣され、博士号を取得した経験を持つ西尾氏。研究会ではトヨタ紡織の人材戦略部で「イノベーティブ人材育成プラットフォーム」を主導する同氏が、2022年から取り組む人材育成の実践について語りました。

トヨタ紡績の新規事業を活用した人材育成プログラム「Re:act」「We:ave」

同社のプラットフォームは、主に入門プログラムの「Re:act」と本格プログラムの「We:ave」の2つから構成されています。注目を集めたのは、その緻密な設計思想。企業風土や現状分析に基づいた独自のアプローチです。

「Re:act」は誰でも参加できるイベント型プログラム。年に2〜3回開催され、自分のアイデアを考え発表する楽しさを体験する場となっています。毎回約600人が参加。満足度は4点以上(5点満点)を維持中です。

一方「We:ave」は3段階構成の専任制プログラム。「ZERO(発起人体験編)」「BASIC(革新家体験編)」「ADVANCE(企業家体験編)」と段階的に設計されており、完全手上げ制で選抜された参加者は専任で社外に出て、自由なテーマで事業アイデアを考案・検証します。これまでの実績も堅実。一期生は36人から11人、二期生は16人から7人を選抜しました。

「事業より人材」の明確なスタンス

西尾氏の発表で特に注目されたのは、「事業創出より人材育成を優先する」明確な姿勢です。「簡単に良い事業はできないと思っています。トップとも握っていて、焦らなくていいと言ってもらっています」と西尾氏は語ります。

社外3年、社内5年の観察期間と、自社の徹底分析を経て設計されました。経営層の巻き込み方も特徴的で、社長・会長・副会長を同時にインタビューし、応援動画も出演してもらっている、といいます。「評価者と被評価者の関係ではなく、一緒に作戦会議をする」スタンスで経営層と対話していると強調しました。

また帰任後のフォロー体制も充実しており、「棚卸しと実践」期間を設け、キャリアビジョン策定から上司との擦り合わせまでをサポートしていることが披露されました。その結果、「上長からビジョンを聞くだけでなく自分なりの解釈をして提案できる」人材が育ちつつあるといいます。

質疑応答も白熱

発表後は多くの質問が寄せられました。「業務扱いか自己学習か」「社外活動のメリット・デメリット」「テーマと既存事業の関係」など、具体的な運用に関する質問から、「社内風土はどう変わったか」「その変化をどう測定するか」といった本質的な問いかけまで。多様な角度から議論が展開されました。

「私たちが目指しているのは、明日のトヨタサキチさんを作ること」と西尾氏。創業者のように「ありたき姿を描き、人を巻き込みながら変えていく」リーダー人材の育成を目指しています。将来的には「We:ave」で育成された人材が「会社のアセットと社会ニーズのマッチング役」として活躍するビジョンを描いています。

参加者からの反響

参加者からは「しっかりまとまっている資料と高い熱量から、特殊な人材が道を切り開くということを感じた」「表面的な事例でなく、設計思想まで聞けたから、設計者側の意図や特性の出方がとても面白かった」「人づくりを最初にトライした点を納得させるだけの緻密な進め方が素晴らしい」といった感想が聞かれました。

「単なる人材育成ではなく、背後には周到に検討、準備された痕跡が隠れ見え、西尾さんだからなせる業だと思った」という声も。特殊事例ではあるものの、「それが実績になっている以上言い訳にできない現実もあり、成功事例として非常に参考になった」との評価もありました。

トヨタ紡織の取り組み。創業100年を超える企業が次の100年を見据えた挑戦として、多くの参加者の共感を呼びました。人材育成の本質に迫る議論の場に、多数の質問が飛び交いました。

COMMITについて

COMMITは、新規事業を通じて会社を変えていきたいという課題認識を持つ大企業・伝統企業の新規事業部門責任者に対して、実務経験豊富な経験者の暗黙知を提供し共に学び合うコミュニティです。詳細はプレスリリースをご参照ください。

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